Ⅱ.各治験の解説
※企業から了承が得られた情報を公開しています。
治験概要
更新日 2023年5月1日
治験依頼者 |
アストラゼネカ株式会社 |
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疾患名(jRCTに掲載) | 【肺がん、乳がん】などの胸部のがん |
管理ID(治験ID) |
JapicCTI-194760 |
治験名 |
オシメルチニブ単剤による一次治療下で病勢進行した進行非小細胞肺癌患者を対象に、バイオマーカーを指標とした第II相プラットフォーム試験 |
治験のフェーズ |
第2相 |
問い合わせ先 | |
治験成分記号 (治験薬一般名) (作用機序情報) |
治験成分記号:AZD9291
治験薬一般名(日本語):オシメルチニブ
治験薬一般名(英 語):Osimertinib
活性型変異(L858R等)を有するEGFRチロシンキナーゼ並びに活性型変異及びT790M変異を有するEGFRチロシンキナーゼに対して阻害作用を示すことにより、EGFR遺伝子変異を有する腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。 |
治験成分記号:AZD6094
治験薬一般名(日本語):未定
治験薬一般名(英 語):Savolitinib
多くの種類の固形腫瘍で異常に機能することが示されている酵素であるc-MET受容体チロシンキナーゼの選択的阻害剤です。 |
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治験成分記号:ZD1839
治験薬一般名(日本語):ゲフィチニブ
治験薬一般名(英 語):Gefitinib
EGFRチロシンキナーゼを選択的に阻害し、腫瘍細胞の増殖能を低下させます。 |
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治験成分記号:-
治験薬一般名(日本語):ネシツムマブ(遺伝子組換え)
治験薬一般名(英 語):Necitumumab (Genetical Recombination)
EGFRに対する抗体であり、EGFRに結合し、EGFRを介したシグナル伝達を阻害すること等により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられます。 |
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治験成分記号:MEDI4736
治験薬一般名(日本語):デュルバルマブ(遺伝子組換え)
治験薬一般名(英 語):Durvalumab (Genetical Recombination)
ヒトPD-L1に対するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1とその受容体であるPD-1との結合を阻害すること等により、抗腫瘍免疫応答を増強し、腫瘍増殖を抑制すると考えられます。 |
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治験成分記号:-
治験薬一般名(日本語):カルボプラチン
治験薬一般名(英 語):Carboplatin
癌細胞内のDNA鎖と結合し、DNA合成及びそれに引き続く癌細胞の分裂を阻害するものと考えられています。 |
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治験成分記号:-
治験薬一般名(日本語):ペメトレキセド
治験薬一般名(英 語):Pemetrexed
複数の葉酸代謝酵素を同時に阻害することによりDNA合成を阻害して抗腫瘍効果を発揮します。 |
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治験成分記号:-
治験薬一般名(日本語):アレクチニブ
治験薬一般名(英 語):Alectinib
ALKチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、ALK融合遺伝子陽性の腫瘍細胞の増殖を抑制します。 |
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治験成分記号:-
治験薬一般名(日本語):セルペルカチニブ
治験薬一般名(英 語):Selpercatinib
RET キナーゼの選択的阻害薬で、がん細胞増殖を阻害します。 |
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治験成分記号:-
治験薬一般名(日本語):シスプラチン
治験薬一般名(英 語):Cisplatin
癌細胞内のDNAと結合し、DNA合成及びそれに引き続く癌細胞の分裂を阻害するものと考えられています。 |
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治験成分記号:-
治験薬一般名(日本語):セルメチニブ
治験薬一般名(英 語):Selumetinib
強力で選択的なアロステリックMEK1/2 阻害剤です。MEK1/2を阻害することにより、MEKの基質であるERKのリン酸化を阻害し、RASにより調節されるRAF/MEK/ERK経路のシグナル伝達を抑制することでがん細胞の増殖を抑制します。 |
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治験成分記号:-
治験薬一般名(日本語):エトポシド
治験薬一般名(英 語):Etoposide
トポイソメラーゼIIと結合して安定複合体を形成し、切断されたDNAの再結合を阻害することにより、腫瘍細胞の増殖を抑制します。 |
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治験成分記号:DS-1062
治験薬一般名(日本語):ダトポタマブ デルクステカン(遺伝子組換え)
治験薬一般名(英 語):Datopotamab Deruxtecan (Genetical Recombination)
上皮性腫瘍の細胞表面に高発現している膜貫通糖タンパク質であるTROP2(別名:腫瘍関連カルシウムシグナル伝達物質2)に結合し、細胞内に移行します。本薬剤の薬物成分トポイソメラーゼI 阻害剤が、細胞内移行後の酵素反応により放出され、DNA トポイソメラーゼI を阻害することにより腫瘍細胞の増殖を抑制します。 |
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治験の概要 |
本治験は、オシメルチニブ単剤による一次治療下で進行した進行非小細胞肺癌患者を対象とした第II相プラットフォーム試験です。 本治験はモジュール式デザインを採用しているため、複数の治験治療の有効性、安全性及び忍容性の評価を行います。 本治験では、 ①年齢が18歳以上(日本は20歳以上)であること、 ②組入れ時点で局所進行又は転移が認められ(すなわち、進行非小細胞肺癌)、根治的手術療法又は放射線療法適応外であること、 ③診断時にEGFRチロシンキナーゼ阻害薬感受性との関連が知られているEGFR遺伝子変異を有する肺腺癌であることが組織学的又は細胞学的に診断されていること、 ④進行非小細胞肺癌に対する前治療は、オシメルチニブ単独治療の一次治療のみで、臨床的ベネフィットがあると判断されていること、 ⑤オシメルチニブ80mg 1日1回の単剤による一次治療下の進行が画像検査により確認されていること、 ⑥必須の生検に適していて(治験薬の初回投与予定日前60日間以内に採取可能な腫瘍があること)、その手技に耐えられるような安定した臨床状態であること、 ⑦測定可能病変を有していること、 ⑧世界保健機関(WHO)パフォーマンスステータスが0 又は1 で、スクリーニングから治験薬の初回投与までの間に悪化が認められないこと、 ⑨経口薬の嚥下及び保持が可能、かつ十分な静脈路が確保されていること、 ⑩探索的研究のための保存腫瘍組織の提供ができること(組織/サンプルが入手可能な場合、提供が必須である)、 ⑪本治験及びフォローアップを遵守する能力及び意思があること、 ⑫適切な血液凝固パラメータを有すること、 ⑬2週間以上の低分子量ヘパリン、第Xa因子阻害薬又はトロンビン阻害薬を使用中であり臨床的に安定している場合は、腫瘍血栓症又は深部静脈血栓症が判明している患者も組入れ可とする、 ⑭治験治療に特有の避妊基準を遵守する意思があること、 等の条件を満たす方を対象としています。 ただし他の条件も多数あり、本治験に参加していただけるか否かは専門家による医学的判断が必要となります。 本治験で用いられている各治験薬については作用機序情報をご参照ください。 |
治験の実施方法の概要と注意事項 |
本治験では、ランダム化は行われず、専門家による医学的判断の結果、登録の条件を満たす方には治療薬が投与されます。 本治験は複数のモジュールから構成されるため、バイオマーカーによる適格基準や各モジュールの参加者募集状況に応じて、 ①オシメルチニブ+Savolitinib、 ②オシメルチニブ+ゲフィチニブ、 ③オシメルチニブ+ネシツムマブ、 ④デュルバルマブ+ペメトレキシド+カルボプラチン、 ⑤オシメルチニブ+アレクチニブ、 ⑥オシメルチニブ+セルペルカチニブ、 ⑦エトポシド+カルボプラチン+デュルバルマブ、 ⑧オシメチニブ+ペメトレキセド+カルボプラチン又はシスプラチン、 ⑨オシメルチニブ+セルメチニブ、 ⑩オシメルチニブ+ダトポタマブ デルクステカン、 のいずれかのモジュールへの参加が決定し、治療が実施されます。 なお、本治験の治験薬は有効性・安全性が確立していないもので、それらの評価を厳密な管理のもとに行う段階です。 また、実施する治験薬の副作用が生じうるリスクがあり、治験への参加に伴う検査内容・検査方法等の詳細を含め、本治験への参加の可能性がある場合には、治験実施医療機関において直接説明を受けて頂く必要があります。 |
病院名 |
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