Ⅱ.各治験の解説
※企業から了承が得られた情報を公開しています。
治験概要
更新日 2023年4月24日
治験依頼者 |
MSD株式会社 |
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疾患名(jRCTに掲載) | 【胃がん、大腸がん、食道がん】などの消化管のがん |
管理ID(治験ID) |
jRCT2031210231 |
治験名 |
転移性食道癌患者を対象に一次治療としてのペムブロリズマブ(MK-3475)+レンバチニブ (E7080/MK-7902)+化学療法の有効性及び安全性を標準治療と比較する無作為化第Ⅲ相試験 |
治験のフェーズ |
第3相 |
問い合わせ先 | |
治験成分記号 (治験薬一般名) (作用機序情報) |
治験成分記号:E7080/MK-7902
治験薬一般名(日本語):レンバチニブ
治験薬一般名(英 語):Lenvatinib
がん細胞が増殖するためには、がん組織に栄養分と酸素を供給する新たな血管を形成すること、すなわち血管新生が必要です。血管をつくる血管内皮細胞の表面には、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)と呼ばれるタンパク質が存在し、強力な血管新生促進作用をもつ血管内皮増殖因子(VEGF)と結合することによって、細胞内に血管新生の刺激を伝えます。この刺激にはVEGFRのチロシンキナーゼという酵素が重要な役割を果たします。レンバチニブはVEGFRのチロシンキナーゼの働きを抑えることにより、血管新生の刺激が血管内皮細胞内に伝わることをブロックします。これにより血管新生を阻害し、がん細胞を増殖させず、やがて死滅させる効果を狙っています。 |
治験成分記号:Mk-3475
治験薬一般名(日本語):ペムブロリズマブ
治験薬一般名(英 語):Pembrolizumab
ペムブロリズマブは、PD-1(Programmed cell Death-1)の伝達経路を阻害する抗体のくすりです。PD-1は、免疫系の細胞(T細胞)の表面上に存在し、がんに対する免疫のはたらきを抑え、免疫系ががんを攻撃できないようにします。ペムブロリズマブはPD-1に作用し、PD-1がPD-L1(PD-1と結び付くたんぱく質で、がん細胞の表面上にある)と結び付くことを防ぎ、免疫系ががんを攻撃できるように促すことで、がんに対して有効であると考えられています。 |
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治験の概要 |
この治験は転移性食道癌の患者さんに対するレンバチニブ+ペムブロリズマブ+化学療法の併用療法の後にレンバチニブ+ペムブロリズマブを投与する治療法と、ペムブロリズマブ+化学療法の併用療法を比較する研究です。 レンバチニブとペムブロリズマブは国内外において単独または併用療法で一部の適応症ですでに承認を取得し、販売されています。 なお、食道癌に対して、レンバチニブ+ペムブロリズマブ+化学療法の併用療法は承認されていません。レンバチニブ+ペムブロリズマブ+化学療法の併用療法は研究段階にあります。 使用する化学療法[FPと呼ばれるシスプラチンと5-フルオロウラシル(5-FU)の併用療法、およびmFOLFOX6と呼ばれるオキサリプラチン、5-FU、レボロイコボリンの併用療法]は食道癌の標準治療です。 この治験では以下の条件にあてはまる未治療の転移性食道扁平上皮癌の患者さんに参加をお願いしています。 ? 画像検査で評価が可能な病変がある ? 腫瘍組織検体を提出できる ? 血圧が十分にコントロールされている ? 臨床検査結果により、骨髄、腎、肝機能などが十分に保たれていると確認されている ただし他の条件も多数あり、本治験に参加していただけるか否かは専門家による医学的判断が必要となります。 |
治験の実施方法の概要と注意事項 |
最初に、あなたがこの治験に参加できるかどうかを治験スタッフが確認いたします。 これはスクリーニングの段階と呼ばれ、約4週間(1ヵ月)続きます。この間に、1回以上来院していただきます。あなたが治験に参加できる場合、次のステップとして治験薬投与の段階に入ります。 治験薬投与には以下の2つの投与群があり、どちらかの投与群に無作為に割り付けられます。あなたが投与群1または投与群2に割り当てられる確率は、それぞれ2分の1です。 投与群1:レンバチニブ+ペムブロリズマブ+化学療法(FPまたはmFOLFOX6)との併用療法を約12週間受けていただき、その後、レンバチニブ+ペムブロリズマブの併用療法を最大で2年間受けていただきます。 投与群2:ペムブロリズマブ+化学療法(FPまたはmFOLFOX6)とそれに続くペムブロリズマブ単剤(または該当する場合は5-FUとの併用療法)の治療を最大18回(約2年間)の投与を受けていただきます。 専門家による医学的判断の結果、登録の条件を満たす方には治療薬が投与されます。 なお、本治験の治験薬は、他の疾患に対して国内で承認されていますが、食道癌に対する有効性・安全性の評価を厳密な管理のもとに行う段階です。 また、実施する治験薬の副作用が生じうるリスクがあり、治験への参加に伴う検査内容・検査方法等の詳細を含め、本治験への参加の可能性がある場合には、治験実施医療機関において直接説明を受けて頂く必要があります。 |
病院名 |
Ⅰ 臨床試験登録情報
Ⅲ 疾患名(jRCT掲載)の解説について