Ⅱ.各治験の解説
※企業から了承が得られた情報を公開しています。
治験概要
更新日 2023年6月29日
治験依頼者 |
大鵬薬品工業株式会社 |
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疾患名(jRCTに掲載) | 【肺がん、乳がん】などの胸部のがん 【胃がん、大腸がん、食道がん】などの消化管のがん 【肝細胞がん、膵臓がん】などの肝臓・胆のう・膵臓のがん 【軟部肉腫、骨肉腫】などの骨・筋肉のがん 膵がん、大腸がん、肺がん、胃がん、胞巣軟部肉腫 |
管理ID(治験ID) |
jRCT2011210020 |
治験名 |
進行固形がん患者を対象としたAB122プラットフォーム試験 |
治験のフェーズ |
第1相 |
問い合わせ先 |
大鵬薬品工業株式会社 担当者:木場 一雄 k-koba@taiho.co.jp |
治験成分記号 (治験薬一般名) (作用機序情報) |
治験成分記号:AB122
治験薬一般名(日本語):-
治験薬一般名(英 語):Zimberelimab
AB122は、PD-1(Programmed cell Death-1)の伝達経路を阻害する働きを持っている治験薬です。 がんは、免疫系の細胞(T細胞)の表面上に存在するPD-1と結合し、ヒトの免疫の攻撃から逃れています。 がんとPD-1の結合を防ぐことで、ヒトの免疫細胞であるT細胞が、がんを攻撃できるようにします。 AB122は、動物での実験でがんを小さくしたり、大きくならないようにする効果があることがわかりました。 海外で実施されている治験では、がん患者さんの様々な種類のがんを小さくしたり、大きくならないようにすることが報告されています。 AB122は、国内および海外で開発が進められており、中国ではホジキンリンパ腫の治療薬として承認されています。 |
治験成分記号:TAS-120
治験薬一般名(日本語):フチバチニブ
治験薬一般名(英 語):Futibatinib
TAS-120は、FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体)というタンパク質を標的としている治験薬です。 FGFRには、FGFR1、FGFR2、FGFR3およびFGFR4の四種類の形があることが報告されており、血管新生、創傷治癒に関係する成長因子の一つであるFGF(線維芽細胞増殖因子)が結合する受容体です。 多くの種類のがんでは、遺伝子融合、遺伝子増幅、タンパク質過剰発現、遺伝子変異などによるFGF/FGFRの異常で正常細胞のがん化を引きおこしたり、がんを悪化させたりすることが報告されています。 動物にTAS-120を投与した場合、がん細胞を小さくする、もしくは大きくならないようにする効果が認められています。 TAS-120はFGFR阻害剤LYTGOBI®として,米国で「前治療歴を有するFGFR2融合遺伝子またはその他の再構成を伴う切除不能な局所進行または転移性肝内胆管がんの治療薬」として承認されています。 |
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治験成分記号:TAS-116
治験薬一般名(日本語):ピミテスピブ
治験薬一般名(英 語):Pimitespib
TAS-116は熱ショックタンパク質(HSP)90を阻害する働きを持っている治験薬です。 HSPは細胞に存在し、他のタンパク質と結合しそのタンパク質の働きを助けます。 HSPのうちの1つであるHSP90は、がん細胞に多く存在し、がん細胞の生存と増殖に必要な様々なタンパク質を安定化させることで、がんを悪化させています。 TAS-116はこのHSP90を阻害することにより、がん細胞の生存と増殖を抑える効果があると考えられています。 動物にTAS-116を投与した場合、がんを小さくする、もしくは大きくならないようにする効果が認められています。 TAS-116はHSP90阻害剤ジェセリ錠®として,日本で「がん化学療法後に増悪した消化管間質腫瘍の治療薬」として承認されています。 |
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治験成分記号:TAS-115
治験薬一般名(日本語):-
治験薬一般名(英 語):-
TAS-115は、細胞の表面にある肝細胞増殖因子受容体(MET)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、コロニー刺激因子1受容体(CSF1R)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)などに結合し、がん細胞の働きやがんの進行を抑える効果があると考えられています。 動物にTAS-115を投与した場合、がんを小さくする、もしくは大きくなるのを遅らせる効果が認められています。 |
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治験の概要 |
この治験は、膵がん、大腸がん、肺がん、胃がん、胞巣軟部肉腫の患者さんに、AB122とTAS-115又はAB122とTASー116又はAB122とTASー120を投薬していただき、その安全性と効果を確認することを目的としています。 「標準治療とされている抗がん剤で効果が得られない」、「標準治療がなんらかの理由で継続できない」等の条件を満たす方を対象としています。 ただし他の条件も多数あり、本治験に参加していただけるか否かは専門家による医学的判断が必要となります。 |
治験の実施方法の概要と注意事項 |
本治験では、ランダム化は行われず、専門家による医学的判断の結果、登録の条件を満たす方には治験薬が投与されます。 なお、本治験の治験薬同士の組合せは,有効性・安全性が確立していないもので、それらの評価を厳密な管理のもとに行う段階です。 また、実施する治験薬の副作用が生じうるリスクがあり、治験への参加に伴う検査内容・検査方法等の詳細を含め、本治験への参加の可能性がある場合には、治験実施医療機関において直接説明を受けて頂く必要があります。 |
病院名 |
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